2024.12.21
補聴器の海外最新情報
補聴器に関する最新の技術や製品についての情報を紹介するイベントが10月に開催され、弊社のスタッフが参加してまいりました。
世界中の補聴器関連企業が集結して毎年大きな盛り上がりを見せる一大イベントですが、
今年は68回目の開催で、ドイツのハノーファーで3日間にわたり行われました。最新情報を入手すべく視察をしてまいりましたので、その一部を皆様へご紹介いたします。
会場はハノーファー国際見本市会場という日本の幕張メッセよりも広大な会場で開催され、今年は約8700人の来場者が訪れました。
参加者の多くが補聴器の開発や販売に従事する側の人間のみで構成される為その規模の大きさがうかがえるかと思います。19カ国から130社以上の企業が参加し、多くの最新情報が提供されていました。
そこでは補聴器メーカーだけでなく、人工内耳、聴覚検査機器、イヤモールド、補聴器用アクセサリのメーカーなど出展は多岐にわたり、それぞれの技術や製品が魅力的にアピールされていました。
補聴器の見本市『EUHA』
弊社で取り扱いをしている世界の七大補聴器メーカーもこのイベントに出店をしており、その一つであるオーティコンのブースにてお話を伺うことができました。
現在オーティコンでは、聞き取りにかかる負担や聞く意識の研究に力を入れているようです。
最新の研究では1人1人に合わせた聞こえが提供できるよう、聞こえの個別化に重点を置いているとのお話がありました。
その個別化を実現するために活用されているのが、ACT(アクト)という雑音下での聞き取りを測定する機械です。
「静かな場所では問題ないが、レストランなどに行くと周りの音が大きすぎて、うまく会話が聞き取れない」と感じたことがある方もいらっしゃるかと思います。
ユーザーにとって雑音は聞き取りの妨げになるものですが、雑音下の聞き取りの力にも個人差があることが研究で明らかになりました。
その雑音下での聞き取りの力を測るために開発されたものがACTです。測定は2~3分で行うことができ、
測定の結果を補聴器の調整に反映させることが可能となります。
補聴器は個々の聴力合わせて調整を行う医療機器ですが、
そこにACTでの測定が加われば、よりお客様の聞こえに合った調整を行うことが可能になります。
実は弊社でも成城コルティ店に既に導入がされており、お客様よりご好評をいただいております。今後さらに進歩した技術が展開されることに私たちスタッフ一同興味津々でした。
ニュルンベルクの補聴器販売店見学
EUHA視察とあわせてドイツのニュルンベルクにある補聴器専門店を訪問しました。
とても洗練された路面店で、補聴器のディスプレイはその場ですぐに補聴器の体験もできるように設計されたスタイリッシュな印象でした。
ドイツでは「マイスター」と呼ばれる政府公認の資格があり、これは日本でいう「認定補聴器技能者」にあたります。日本とは異なり専修の学校に3年間通い、
その後数年の実務経験を経て取得することのできる資格です。
世界的にもハイクラスな資格のため、他国でも同様の扱いで使用できるとのこと。
日本との大きな違いを感じ、育成や制度の改善が急務だと感じました。
日本と同じく補聴器の購入価格には「本体+フィッティング料+アフターケア代」が含まれておりますが、ドイツ国内では補助金の制度が充実しており、
保険適用すると両耳で1600ユーロの補助がでるようです。
EUHAに参加して
日本には補聴器の満足度と普及率の低さに課題があります。
欧州でも貧富の差による普及の課題こそあれど、日本に比べると満足度・普及率は非常に高いです。
そこには専門的な技術力の高さや難聴に対する姿勢が影響しており、日本のようなネガティブなイメージはなく華やかな印象でした。
また、補聴器のフィッティングでは客観的なデータより、お客様の主観を重視して行う傾向が近年増えており、
そのための最新設備も導入されていたりと考え方や方法の違いに驚きました。
補聴器の最新情報だけでなく、海外の補聴器事情や販売店の様子も知ることができ大変有意義な視察ツアーとなりました。
このような経験をヒヤリングストアでの接客に活かしより良いサービスをご提供できるよう努めてまいります。