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2024.12.21

音のない世界で躍動するアスリートたち:デフリンピックを知っていますか?

いよいよ来年、2025年11月15日から26日までの12日間、東京でデフリンピックが開催されます!
そこで、今回はデフリンピックについて紹介させていただきたいと思います。

デフリンピックとは、きこえない・きこえにくいアスリートたちが、世界を舞台に技を競い合うスポーツの祭典です。(「デフ(Deaf)」は英語で「耳が聞こえない」という意味。)
オリンピック、パラリンピックと並ぶ国際的なスポーツ大会ですが、日本ではまだあまり知られていません。70~80の国と地域から、約3,000人の選手たちが集結し、21競技(陸上競技、水泳、サッカー、バスケットボールなど、オリンピックでおなじみの競技も多い)で熱戦を繰り広げます。デフリンピックは、1924年にフランスで第1回大会が開催され、今大会で100周年を迎える記念の大会となります。

オリンピックと同じように、下記の特徴があります。

⦁ 世界中から選手が集まる
⦁ 4年に1度開催される
⦁ 夏と冬がある
⦁ 様々な競技がある

しかし、デフリンピックには、次の独自の特徴もいくつかあります。

⦁音を頼りにできない

競技中は補聴器や人工内耳は外すため、音で情報を得ることができない。

⦁ 目で見て判断

スタートピストルやホイッスルによる伝達はオリンピックなどと同様に行われ、スタートランプなどを競技に合わせて実施します。

⦁ コミュニケーション

手話言語やジェスチャーでコミュニケーションをとる。

サッカーでは主審もフラッグを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタートランプ、音響装置

 

 

 

 

 

 

 

ランプ設置、水泳競技

 

 

 

 

 

 

 

監督やコーチと選手間の指示やコミュニケーションが円滑に行われるよう、手話言語通訳を配置します。
メディカルを受診する選手と、ドクターや看護士、トレーナーの間の診察やコミュニケーションも手話通訳が必要となります。

 

 

 

 

 

今回は、デフリンピックとパラリンピックの違いをより多くの方に知っていただき、少しでもデフリンピックに興味を持っていただければと思います。

デフリンピックとパラリンピック:2つの大会の違いとは?

デフリンピックとパラリンピックは、参加資格、歴史、競技ルール、運営組織などが異なります。
大きな違いは、以下の点が挙げられます。

⦁ 参加資格

⦁ デフリンピック:きこえない・きこえにくい人が出場できます。
⦁ パラリンピック:身体の不自由な方が出場できます。きこえない・きこえにくい人は含まれません。

⦁ 歴史

⦁ デフリンピック:1924年にフランスで第1回夏季大会が開催。パラリンピックよりも長い歴史です。
⦁ パラリンピック:1960年にローマで第1回大会が開催。

⦁ 競技ルール

⦁ デフリンピック:多くの競技でオリンピックと同じルールを採用。ただし、きこえない・きこえにくい人が競技しやすいよう、視覚的な情報伝達を重視した独自のルールも存在します。
⦁ パラリンピック:障がいの種類や程度に応じて、競技ルールや用具に様々な工夫が凝らされています。

⦁ 運営組織

⦁ デフリンピック:国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が運営。
⦁ パラリンピック:国際パラリンピック委員会(IPC)が運営。

⦁ コミュニケーション

⦁ デフリンピック:選手や関係者の間では、国際手話や各国の手話、口話、筆談などがコミュニケーション手段として使われます。
⦁ パラリンピック:コミュニケーション手段は、選手の障がいの種類や程度によって異なります。

金メダリストたち!(男子4×100mリレー決勝:佐々木琢磨選手・設楽明寿選手・山田真樹選手・三枝浩基選手)第23回夏季デフリンピック競技大会サムスン2017 日本選手団

知られざるスポーツの祭典、デフリンピック:その認知度と課題

オリンピック、パラリンピックと並んで世界的なスポーツイベントに数えられるデフリンピック。しかし、その認知度は、他の2つの大会と比べて低いのが現状です。
デフリンピックは、1924年にフランスで第1回大会が開催されました。パラリンピックよりも歴史が長く、4年ごとに夏季大会と冬季大会が開催されています。
デフリンピックでは、きこえない・きこえにくいアスリートたちが、音のない世界で、視覚や触覚を研ぎ澄まし、互いに協力し合いながら競技に挑みます。その姿は、私たちに多くの感動と勇気を与えてくれます。
しかし、日本ではデフリンピックの認知度が低く、選手たちは資金調達や練習環境の確保などに苦労しているのが現状です。

デフリンピックの認知度が低い理由

デフリンピックの認知度が低い理由としては、以下のような点が挙げられます。

⦁ メディアでの露出が少ない
⦁ きこえない・きこえにくい人に対する理解不足
⦁ デフスポーツの情報が少ない

認知度向上のための取り組み

デフリンピックの認知度向上のためには、以下のような取り組みが重要です。
⦁ メディアでの積極的な報道
⦁ 学校教育での啓発活動
⦁ デフスポーツの普及活動
⦁ 企業によるスポンサーシップ

デフスポーツは、近年、ますます注目を集めています。インターネットやSNSの普及により、デフリンピックの情報発信も活発化しています。2025年【11月15日~ 26日 (12日間)】には東京で夏季デフリンピックが開催される予定であり、これを機に、日本でのデフリンピックの認知度向上と、きこえない・きこえにくい人のスポーツの振興が期待されます。

選手村内での日本選手団結団式の様子

デフリンピック認知度向上のため日本の行っている対応

2025年日本で100年の記念すべき大会のデフリンピックが開催されることもあり、日本のデフリンピックの認知度を向上させようといくつかの市区町村で様々な取り組みを行っています。
東京都の品川区は【デフリンピック認知度「120%」プロジェクト】と題して、2022年度からデフリンピックの啓発事業を区内で実施しています。このプロジェクトでは、デフリンピックの認知度を向上させることを目的としたプロジェクトです。

品川区の行っている活動

令和5年7月29日:デフサッカー日本代表エキシビションマッチマッチの観戦・交流会を開催
⦁ 令和5年10月:デフスポーツの体験会や手話を用いたワークショップなど、デフの世界を体感できるイベント「デフスポーツ&アートフェア」をアイルしながわで開催
⦁ パラスポーツチャレンジデーという障がいのある人もない人も一緒に楽しめるパラスポーツ体験イベントでパラスポーツのほかに、デフ陸上体験やデフリンピックに関する展示ブースを設置。また、ダンス楽曲「しゅわしゅわデフリンピック」を踊って楽しむ催しを企画し手話言語の理解促進も行う。

上記のような取り組みを行い寄付された寄付金は、デフスポーツ応援事業やデフリンピック啓発イベントといった、デフリンピックの認知度を上げ、きこえない・きこえにくい人への理解を促進できる事業費に充てています。

埼玉県の行っている活動

【東京2025デフリンピック応援手話言語メッセージリレー】と題して、埼玉県内各首長による手話言語での応援メッセージ動画をリレー方式に発信し、デフリンピックの認知度向上の啓発に取り組む予定です。

神奈川県で行っている活動

【東京2025デフリンピック1年前イベントinかながわ~応援しよう、デフリンピック!スポーツでつながろう!~】と題して、令和6年11月30日(土曜日) に知事とデフアスリートの方とのトークショーやパフォーマーを呼んでのステージイベント、デフスポーツ体験を予定しています。
目立った取り組みは関東県内に多いですが、開催地となっている静岡県、福島県でもデフリンピック応援隊を設置し、これからどんどん盛り上げていく予定があります。

ヒヤリングストアの取り組み

ヒヤリングストアでは、デフリンピックの認知度向上に貢献するため、店頭やホームページでデフリンピックに関する情報を発信しています。また、お客様が、より快適にスポーツを楽しめるよう、最新の補聴器や関連製品の提供にも力を入れています。
私たちは、すべての人がスポーツの感動を分かち合える社会の実現を目指し、これからも活動を続けていきます。
デフリンピックに興味を持たれた方は、ぜひ一度、試合を観戦してみてください。
きっと、新たな感動に出会えるはずです。

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