2024.12.8
補聴器の購入方法は?補聴器購入までの流れや選び方を解説
「最近、テレビの音声が聞き取りにくい」「家族に何度も聞き返してしまう」と感じていませんか? それは、加齢や病気による難聴のサインかもしれません。
難聴は、コミュニケーションを阻害し、生活の質を低下させます。しかし、適切な補聴器を使用することで、聞こえの改善だけでなく、豊かな人間関係や社会参加の機会を取り戻すことが可能です。
この記事では、補聴器の購入方法について、購入までの流れや選び方、費用などを詳しく解説していきます。
補聴器購入の流れ
補聴器の購入を検討し始めたら、まずどのような手順を踏めば良いのでしょうか? ここでは、補聴器購入までの一般的な流れをステップごとにご紹介します。
ステップ1:耳鼻咽喉科を受診する
補聴器を購入する前に、まずは耳鼻咽喉科を受診しましょう。耳鼻咽喉科では、医師による聴力検査や診察を通して、聞こえにくさの原因を特定します。
中耳炎や外耳道閉塞など、治療によって聴力が回復する可能性がある場合は、補聴器の装用ではなく、投薬や手術などの治療が優先されます。また、難聴の種類や程度を正確に測定することで、自分に合った補聴器を選ぶための重要な情報を得られます。
ステップ2:補聴器販売店を選ぶ
耳鼻咽喉科で補聴器の必要性を認められたら、次は補聴器販売店を選びましょう。補聴器販売店には、専門店、家電量販店、メガネ店など、さまざまな形態があります。それぞれ取り扱っている補聴器の種類や価格帯、サービス内容が異なるため、事前に複数の店舗を比較検討することをおすすめします。
補聴器販売店を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
- 認定補聴器技能者や言語聴覚士が在籍しているか
- 取り扱っている補聴器の種類が豊富か
- アフターサービスが充実しているか
- 自宅から通いやすい場所にあるか
ステップ3:聴力測定とカウンセリングを受ける
補聴器販売店では、まず聴力測定を行います。聴力測定の結果に基づいて、最適な補聴器の種類を検討します。また、カウンセリングを通して、お客様の生活環境や聞こえに関する悩み、補聴器に求める要望などを詳しくヒアリングします。
ステップ4:補聴器の器種を決定する
聴力測定の結果や、お客様の生活環境、聞こえのお困りごとに応じて補聴器の器種を選びます。補聴器の種類は大きく分けてメーカー、形状、性能(価格)という3つの要素によって分かれています。補聴器の専門家に相談しながら、自分に合った補聴器を探しましょう。
お耳に合わせたオーダーメイド補聴器を作製する場合、耳の型を採取します。採取した耳型を基にメーカー製造部にて補聴器を作製、完成までは10日前後かかります。既製品の補聴器は、店舗によっては購入前の試聴が可能です。ヒヤリングストアでは2週間の試聴サービスを行っています。
※購入前の試聴の場合、既製品のお貸出しとなります。十分な補聴効果を得るためには、耳の形にぴったり合わせたオーダーメイド補聴器をおすすめします。
ステップ5:補聴器の調整(フィッティング)と試聴
聴力測定とカウンセリングの結果を踏まえ、補聴器の専門家がお客様に合わせて補聴器を調整します。
専門家は、はじめに耳の形に合わせた耳栓の選定や、聴力に合わせた音質、音量の調整を行います。その後実際に補聴器を着けていただき、お客様の感想をお伺いします。
その際に「もう少し声を大きく」や「食器の音が気になる」「自声が強調されて聴こえる」などの感想があれば、それを専門家に伝えましょう。補聴器の専門家は、お客様の訴えに応じて補聴器を微調整し、快適に着けていられる状態を目指します。
ステップ6:購入とアフターサービス
調整を経て、自分に合った補聴器が決まったら、購入手続きに進みます。
購入前に、補聴器本体の価格だけでなく、保証内容やアフターサービスの内容についても確認しておきましょう。補聴器は、購入後も定期的なメンテナンスや調整が必要です。購入後は、補聴器販売店が提供するアフターサービスを積極的に活用し、快適な聞こえを維持しましょう。
※ヒヤリングストアでは、購入後の補聴器メンテナンス・聴力測定・音の調整は無料で承っております。
補聴器を検討するきっかけは?
加齢性の難聴は、日常生活の中で少しずつ進行していくため、ご自身が難聴であることに気づきにくい場合があります。では、どのような時に補聴器の必要性を感じるのでしょうか? 具体的な例を挙げて解説します。
日常生活で聞こえにくいと感じる時
以下のような場面で聞こえにくさを感じたら、補聴器の検討が必要なサインかもしれません。
- テレビの音量を大きくしないと聞こえない
- 家族や友人に何度も聞き返す
- 会話の内容を聞き間違えることが増えた
- 電話の声が聞き取りにくい
- 周りの音が騒がしく、会話に集中できない
- 会議や講演で話の内容が理解できない
これらの状況は、難聴によってコミュニケーションが阻害されていることを示しています。補聴器を使用することで、聞こえの改善だけでなく、周囲とのコミュニケーションを円滑にし、生活の質を高めることができるでしょう。
健康診断や人間ドックで指摘された時
健康診断や人間ドックで聴力検査を受けた際に、難聴の疑いを指摘される場合があります。特に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病は、難聴のリスクを高める要因となることが知られています。健康診断などで難聴を指摘された場合は、放置せずに耳鼻咽喉科を受診し、詳しい検査を受けるようにしましょう。
家族や友人から指摘された時
ご自身では気づきにくい難聴も、周囲の人からは気づかれることがあります。家族や友人から「テレビの音が大きい」「聞き返しが多くなった」などの指摘を受けた場合は、難聴の可能性を考慮しましょう。難聴は、早期に発見し、適切な対応をすることが重要です。
3章目:補聴器の選び方は?ポイントを解説
補聴器は、種類や性能、価格もさまざまです。自分にぴったりの補聴器を見つけるためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
ここでは、補聴器選びのポイントをわかりやすく解説します。
補聴器の種類は大きく耳かけ型、耳あな型の2種類
補聴器には、大きく分けて以下の2種類があります。
耳かけ型
耳の後ろに本体をかけるタイプの補聴器です。耳の中に耳栓があり、本体と耳栓の間にコード、もしくはチューブで繋がっています。
ボタンが大きく操作が簡単です。耳かけ型の補聴器では、最近は充電式が主流になっています。軽度~高度の難聴に適したRICタイプと、中等度~重度の難聴まで対応可能なBTEタイプに分かれています。
・RIC
・BTE
耳あな型
耳の穴にすっぽりとおさまるタイプの補聴器です。一部既製品もありますが、耳の型を取ってオーダーメイドで作るものが大半です。オーダーメイドの補聴器の利点としては耳から脱落しにくい、快適な着け心地、音質の良さがあります。
耳あな型には大きさが違う三種類があります。
・IIC
画像
最も小さい耳あな型補聴器のタイプです。弊社でも一番人気があり、目立ちにくさ・音質の自然さに特徴があります。他人に着けていることを知られたくない、という方にはぜひ試していただきたい補聴器です。
・CIC
IICよりも少し目立ちますが、前からみてもほとんど気づかれない形状です。補聴器の内部に部品を入れるスペースが生まれるため、ボタン操作で音量調節などを行いたい方や、Bluetooth機能を使いたい方にはおすすめの形状です。一部メーカーから充電式のCIC補聴器が発売されています。
・ITC/ITE
CICよりもサイズが大きくなったものがITC、ITCよりさらに大きい補聴器がITEです。本体が大きいため、高度難聴まで対応できます。本体がやや大きいため多くの部品を内蔵できるのが特徴で。複数メーカーから充電式のタイプが発売されています。
性能で選ぶ
補聴器の性能は、価格に大きく影響する要素の一つです。
主な性能としては、以下のようなものがあります。
- 指向性:特定の方向(主に前方)からの音を聞き取りやすくする機能
- 雑音抑制:周囲の騒音を抑え、会話を聞き取りやすくする機能
- ハウリング抑制:ピーピーというハウリング音を抑制する機能
- Bluetooth接続:スマートフォンやテレビとワイヤレス接続できる機能
- AI機能:補聴器内部に搭載された人工知能が、聞き取りやすさをサポートします。
- 充電式:細かい電池交換がいらない補聴器も最近では増えています。
これらの機能は、生活環境や聞こえの悩みに合わせて選ぶことが重要です。会食や家族との団らんなど、アクティブに生活を楽しんでいる方や、現役でお仕事をしている方には高性能の補聴器をおすすめします。
価格で選ぶ
補聴器の価格は、種類や性能、メーカーによって大きく異なります。一般的に、高性能な補聴器ほど価格は高くなります。予算に合わせて、最適な補聴器を選びましょう。
認定補聴器技能者と相談する
補聴器選びに迷ったら、認定補聴器技能者に相談してみましょう。
認定補聴器技能者は、聴力測定や補聴器の調整、カウンセリングなどを行う専門家です。あなたの聞こえの状態や生活環境に合わせて、最適な補聴器選びをサポートしてくれます。
4章目:補聴器の価格相場
補聴器の購入を検討する上で、気になるのはやはり価格です。「補聴器は高額」というイメージを持っている方もいるかもしれません。
実際、補聴器の価格は、種類や性能、メーカー、販売店によって大きく異なります。ここでは、補聴器の価格相場について詳しく解説し、購入費用を抑えるための方法もご紹介します。
補聴器の価格帯は、10万円~60万円程度
補聴器の価格は、片耳あたり数万円から数十万円までと幅広いです。
一般的に、10万円から60万円程度が相場と言われています。
高価格帯の補聴器は、より高度な機能を搭載していたり、きめ細かな調整が可能であったりするのが特徴です。
価格の差が出る要因とは?
補聴器の価格に差が出る要因としては、他には以下のような点が挙げられます。
- 種類: 耳かけ型、耳あな型など、種類によって若干価格帯が異なります。
- 性能: 雑音抑制やハウリング抑制、Bluetooth接続など、搭載されている機能によって価格が変わります。
- メーカー:大きな差はありませんが、補聴器メーカーによって音質に違いがあり、若干価格設定も異なります。
- 販売店: 専門店、家電量販店、メガネ店、オンラインストアなど、販売店によって価格やサービス内容が異なります。
- 保証内容: 修理保証期間や紛失保証の有無など、保証内容によって価格が変わります。ヒヤリングストアでご購入いただいた補聴器には、上記の保証の他に2か月間の安心返品保証も付帯しています。
- アフターサービス: 定期的なメンテナンスや調整など、アフターサービスの充実度によって価格が変わる場合があります。
購入費用を抑える方法
補聴器の購入費用を抑えるためには、以下の方法があります。
国による、総合支援法にもとづいた補聴器支給制度:高度難聴以上の方に対して補聴器の支給・もしくは購入補助が得られる制度です。この制度を利用するには聴覚障害手帳の取得が必要です。
自治体による補聴器購入補助制度:最近では上記の総合支援法に当てはまらない方でも、一定の条件を満たすと補聴器の購入補助が得られる制度が始まっています。制度の内容は自治体によって大きく異なりますので、詳しくはお住まいの自治体にお問い合わせください。
補聴器は専門家と相談し、納得して選びましょう
補聴器は高額な買い物であるため、価格だけで判断するのではなく、自分の聞こえの状態や生活環境、予算に合わせて最適なものを選ぶことが大切です。
複数の販売店を比較検討し、認定補聴器技能者と相談しながら、納得のいく補聴器を選びましょう。