・「補聴器の購入を考えているけれど、お値段が高額。税制上優遇はあるのだろうか。」
・「インプラントの治療も行ったし、医療費がかかったわ。補聴器も医療費に該当するのかしら。」
・「今年は体調を崩して入院したから医療費がかさんでしまったわ。補聴器も買おうと思っているんだけど、確定申告の医療費控除の時に補聴器はどういう扱いになるのかしら?」
このように、補聴器の税制上の優遇についてのお問合せは、私たちヒヤリングストアでもご相談いただく機会が多々があります。補聴器は医療機器であり、非課税の製品です。また以前から確定申告の医療費控除の対象ではありましたが、「医師の診断」が必要であったため、その手続きをされる方はそれほど多くはない状態でした。
しかし、超高齢社会を迎え、補聴器が必要な方が増えるとともに、補聴器購入費用は装用者にとって大きな負担となっているのが現状です。そのような背景をもとに、平成30年度(2018年)から「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の活用により、医療費控除が受けられるようになりました。
補聴器購入費用を医療費控除対象にするために
大事なポイントは以下の3点でございます。
1. 購入前に「補聴器相談医」を受診しましょう
まずはお近くの耳鼻咽喉科で「補聴器相談医」の資格を有する先生を受診します。
補聴器相談医の先生がどこに在籍しているかは「日本耳鼻咽喉科学会」ホームページの「補聴器相談医」リストから調べることができます。
http://www.jibika.or.jp/members/nintei/hochouki/hochouki.html
その耳鼻咽喉科で、診察・検査を受け、補聴器が必要かどうかの判断を仰ぎます。
必要と判断された場合、患者さんが希望すれば、補聴器相談医の先生が「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を作成して下さいます。
2.「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」を持って補聴器販売店へ
耳鼻咽喉科を受診した後、補聴器販売店で相談・試聴をします。
ご納得のうえで購入を決めましたら、購入の際、販売店から「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の写しと領収書を受け取ります。
3.当該年度の確定申告における医療費控除として申請する
確定申告の際に、税務署から求められた場合は、「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」の写しと領収書の提出が必要となりますので、大切に保管をしておきましょう。
補聴器の購入は「認定補聴器技能者」が在籍している「認定補聴器専門店」へ
補聴器相談医の先生が発行する「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」は、医療機関においても大事な報告書になりますので、診療情報提供書に対する返信がきちんと書ける補聴器販売店で購入することが望ましいです。補聴器販売店は「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」をお客様から受け取ると、送信元の先生に「補聴器適合に関する報告書」という書類を書いてお返ししなければなりません。その際には、購入した補聴器のデータや調整の状態、経緯などをまとめて記入します。報告書を補聴器相談医の先生にお返しすることで、責任を持って補聴器の販売をしたことになります。この報告書を記載するには、補聴器販売者として十分な知識と技能を持ったうえで、補聴器の適合を測定したデータが必要になります。そのため、購入は技術と設備が担保された「認定補聴器技能者」が在籍している「認定補聴器専門店」をお勧めしております。
補聴器の医療費控除によって、どれくらいメリットがあるのか?
これもよく聞かれる質問です。確定申告によってどれくらいの還付金があるのかどうかは個人の所得と控除の条件によって異なりますので一概には言えませんが、医療費控除の対象となる金額は以下の通りです。
- 所得金額が200万円以上の場合
[実際に支払った医療費控除の合計額] – [保険金などで補填される金額] -10万円 - 所得金額が200万円未満の場合
[実際に支払った医療費控除の合計額] – [保険金などで補填される金額] – [総所得金額等の5%の金額]
よって、所得金額が200万円以上の場合、補聴器の購入金額が10万円以上であれば、医療費控除の対象金額が発生することになります。
注意点
*すべての耳鼻咽喉科専門医が補聴器相談医というわけではありません。
*補聴器購入後の受診では、医療費控除の対象とはなりません。
*補聴器購入を希望される方すべてが、医療費控除を受けられるわけではありません。
*確定申告と医療費控除の詳細については、国税庁のホームページをご覧いただくか、管轄の税務署や専門機関へお問合せいください。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/180416/index.htm