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2020.3.24

骨伝導補聴器についてのあれこれ〜販売台数から最新の機器まで〜

ネットで補聴器についての検索をしていると、しばしば見かけるのが「骨伝導式」の補聴器や集音器。「なんだかよく聞こえそう」そんなイメージを持たれている方も多いようです。今回は「骨伝導補聴器」について最新情報を含めてお伝えいたします。

骨伝導式の補聴器の特徴は?

一般的な補聴器には数ミリほどの小さなスピーカー(レシーバー)が内蔵されています。スピーカーから音が出て、外耳道内の鼓膜へ伝えるという仕組みです。骨伝導式補聴器にはスピーカーが無く、骨導端子が着いています。マイクで集音して、アンプで増幅・調整された音情報が、端子から振動刺激となり、内耳近くの体表面(耳介の後ろ・乳様突起といわれる箇所)に当てることで、音刺激を直接内耳へ届けます。

一般的なデザインは「メガネ型」といわれるもので、メガネのツルの部分に骨導端子を埋め込んでいます。

仕組みや全体像については下記の記事にも詳しく書かれているのでご参考になさってください。

骨伝導補聴器とは?そのメリットや価格は?

実際に骨伝導式補聴器はどのくらい売れているの?

ネット広告でよく見かける「骨伝導」ですが、実際にはどのくらい売れているのでしょうか?

通信販売での販売台数については公式の資料がありませんのでわかりませんが、日本補聴器工業会(補聴器メーカーが加盟する業界団体)発表の統計資料によると、2018年「メガネ型」補聴器の出荷台数は347台でした。補聴器の総出荷台数が58万台強ですので、「メガネ型」のシェアはわずか0.06%に過ぎません。この数字を見ると「メガネ型」=「骨伝導式」補聴器が一般的でないことがわかります。

なぜ「骨伝導式」補聴器はほとんど売れていないのでしょうか?

「骨伝導式」補聴器の適応となる方は・・・

「骨伝導式」補聴器の適応となるのは「伝音難聴」もしくは「混合性難聴」の方ですが、これらの難聴はほかの治療や手術によって改善することもあるため、骨伝導式補聴器を使用するシーンはかなり限られています。

例えば、先天性の外耳道閉鎖症や小耳症などで手術が必要な小児の場合、成長を待って外耳道形成術を行いますが、生後数年は言葉の獲得に重要な時期となります。その間にこの骨伝導式補聴器できこえを補うという方法を取ることがあります。

成人、特に加齢による難聴の場合は、そのほとんどが「感音難聴」となるため、稀なケースを除いては、骨伝導式補聴器の適用とはなりません。

「骨伝導式」イヤホン・ヘッドホンはメリットばかりではない

これまで巷では、「骨伝導式」の電話機をはじめ、イヤホン・ヘッドホンなどが注目されてきました。「耳を塞がないので、周囲の音も聞こえること」が特徴だと謳われていますが、耳を塞がない分、振動端子を耳周辺のどこかに密着させないといけないため、固定した箇所で発赤や痛みが出ることがあります。また、ちょっとしたズレで音が小さくなったり音質が悪くなったりします。ボリュームが大きくなると音漏れしやすいという難点は通常のイヤホン・ヘッドホンと一緒です。

骨伝導式でも最終的に音を感受しているのは内耳(蝸牛)です。通常の補聴器やイヤホン・ヘッドホンも同様です。骨伝導式のものを使っても、音を受け取るところは一緒なので、過度な音刺激は難聴進行のリスクを高めるということを忘れないでください。

「骨伝導型補聴器」の新しい潮流

医学の世界では新しい形の「骨伝導型補聴器」が登場しています。

骨固定型補聴器(BAHA)

1990年代後半から欧米で普及しはじめた植込型骨導補聴器(BAHA)が、2013年に日本でも保険承認されました。一般名称は「骨固定型補聴器」となっています。

手術によって振動子と接合子を側頭骨(耳の後ろあたり)に埋め込み、外部から専用のサウンドプロセッサ(本体)を取り付ける補聴器です。プロセッサ内に付属しているマイクで集音し、音信号の処理をして振動子が頭蓋を振動させることで内耳に音を届けます。日本ではオーストラリアのコクレア社のモデルが導入されています。

このような骨伝導式の新しいモデルをはじめとした「人工聴覚器」については日本耳鼻咽喉科学会の一般向けサイトで詳しく説明されていますので、参考にしてみてください。

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