補聴器に関する最新の技術やデザインについての情報を紹介する見本市と年次総会が年に1回、アメリカとヨーロッパ(主にドイツ)で開催されます。世界中の補聴器プロフェッショナルが集結するイベントで、毎年大きな盛り上がりを見せています。
アメリカの見本市は「AAA(アメリカ オーディオロジー学会)」で、2019年春はオハイオ州コロンバスで開催されました。ヨーロッパの見本市は「EUHA(The Union of Hearing Aid Acousticians)」といい、2019年は10月16日から18日の3日間の日程で、ドイツ南部に位置するバイエルン州ニュルンベルクで開催されました。
ヒヤリングストア では補聴器に関する最新情報の入手を目的として社長とスタッフで視察をしてまいりましたので、その様子の一部を皆様にお届けします。
EUHA 展示会場
会場は15,500平方メートル(東京ドームの3分の1ぐらい)という巨大スペースで、21か国から154団体の出展がありました。補聴器メーカーだけではなく、人工内耳メーカー、聴覚検査機器、イヤモールドなど多岐にわたる出展で、それぞれ独自の新製品をアピールしていました。これら新製品は、日本で(薬事法)未承認の場合、詳細をお伝えすることができないのですが、数ヶ月後には日本でも発売される可能性のものが多くあります。スタッフ一同、新製品に興味津々でした。
フランス・パリの補聴器販売店見学
EUHA視察がてら、フランスの首都パリにある補聴器専門店を訪ねました。とてもスタイリッシュな路面店で、補聴器のディスプレイはあたかも化粧品店のような印象でした。
フランスでも「Audioprothésiste」と呼ばれる補聴器を専門に扱う有資格者が販売をしています。これは日本でいう「認定補聴器技能者」や、オージオロジストにあたります。日本とは異なり、高校卒業後に専修の大学に3年間通い、そのうち座学は4割、残りの6割は実地研修で学び、即戦力を養成しているのだとか。日本の教育制度との大きな違いを感じました。
フランスは現在人口が約6,700万人で高齢化率は20%程度です。また、聴覚障害者が約600万人でその半分である300万人に補聴器が必要と言われていますが、実際に補聴器を所有しているのは200万人という報告があります。
日本と同様、補聴器の価格には「本体代とフィッティング、フォローアップ費用」が含まれていますが、難聴に対する意識や経済的な理由から、全ての補聴器が必要な人々に支援が行き届いていません。一部の費用負担が可能な保険制度などを利用しても、自己負担額が大きいという問題がありました。2019年にマクロン政権が補聴器支給に関する制度改革を打ち出し、2021年にはかなりの額が政府によって補償され、自己負担額が数万円程度になる見込みです。
補聴器の最新情報だけではなく、海外の教育事情や販売店の情報も得ることができ、とても充実した視察旅行となりました。こういった経験を、今後のヒヤリングストアでの接客にも活かしてまいります。