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2019.6.5

補聴器購入の際、ご家族に知っていただきたい2つのこと

店頭に初めてご来店いただくお客様の中には

●自ら難聴に気づき、一人でお越しのお客様
の方もいらっしゃれば
●自分はさほど聞こえに困っていないが、ご家族が心配して連れてこられたお客様
という方もいらっしゃいます。

私たちはこのようなお客様ひとりひとりの状況をお聞きし、その方に必要な補聴器を一緒に選んでいきます。お一人でお越しのお客様に対して、丁寧に補聴器のご説明することはもちろんですが、ご家族でいらしたお客様には、ご本人だけでなく、ご家族の方に聞こえの状況やご本人様に必要な補聴器についてご理解いただけるよう心掛けています。

なぜなら、聞こえや補聴器について、身近な方にご理解いただくことはとても大切なことだからです。装用するご本人と家族が、補聴器を使用する上で共通の知識や認識を持つことは、とても大きなメリットになります。

今回は家族が「聞こえ」や「補聴器」を理解することの大切さについて、良くあるケースを交えてお話していきます。

「こんなに聞こえていないとは思わなかった」

Aさん(70歳後半・男性)は数年前に妻を亡くして、一人暮らし。
近所に娘夫婦が暮らしています。娘さんはAさんに電話をしても反応がイマイチで、「要件がしっかり伝わっていないのではないか」という懸念がありました。
そのため、週に2回ほど、娘さんが仕事の合間に様子を見に来ます。リビングのドアを開けたときに、テレビの音があまりにもうるさいと感じた娘さん。Aさんの聞こえが心配になったため、近所の耳鼻科に連れていきました。診断は中等度の感音難聴。できれば補聴器をした方が良いとアドバイスを受けました。

紹介状(正式には耳鼻科の補聴器相談医が発行する「補聴器適合に関する診療情報提供書」のこと)を持って店舗にいらしたAさんと娘さん。
補聴器選びのために、言葉の聞き取り測定も受けました。その測定に同席した娘さん、Aさんが「さ」の音を「か」、「が」を「ら」に聞き間違いをしているのを見て、ため息をつきました。「父はこんなに聞こえていなかったのですね。私が思っていたよりも、耳が遠くなってしまったようです。」「お父さん、一人暮らしだからこそ、しっかり聞こえていた方がいいよ。補聴器をつけた方がいいよ。」と娘さんは言いました。Aさんもご自身の聞こえの状態があまり良くないことにあらためて気づき、補聴器を使ってみることにしました。いつも遠くに聞こえていた娘さんの声が近くでしっかり聞こえることに驚きました。娘さんもAさんの応答が良いのを見て、補聴器を買って良かったとのことでした。

このケースのように「ご家族が難聴者の聞こえ方をしっかり把握する」ことは非常に重要です。なんとなく耳が遠い、という認識のままにせず、耳鼻科で診察を受けて、客観的な数値とともに、どれだけ聞こえていないのか理解することが初めの大きな一歩となります。面倒でも、早めに耳鼻科での診察を受けるよう働きかけましょう。

ご家族にも知っていただきたい補聴器の基本的な使い方

Bさん(80歳前半・女性)はご家族と同居中。
特に持病などはないものの、最近は物忘れが気になってきた様子。
ここ数年、耳が遠いと感じていたため、ついに補聴器を買うことにしました。

店頭では初めに補聴器の装用練習、日々の取り扱い、電池交換などについて説明を受けます。一度で覚えられないため、数回通って反復練習をして、取り扱い方法を書面にしてもらいました。しかし、どうしても覚えられず上手くいかないこともしばしば。
朝は鏡の前で補聴器の装着に格闘し、疲れてしまったのでそのまま装着をあきらめる日もあります。せっかく装着できても、しばらくして外してしまい、そのままどこかに置いたまま、翌朝になって「補聴器を無くしてしまった!」と焦ったことも。
その後、孫が補聴器を探してくれて、ベッドの隙間にあるのを発見しました。そして、使用して10日を過ぎた頃、電池切れのお知らせ音がしたため、電池を取り替えようとしましたが、店頭での練習のように上手くできません。

せっかく買った補聴器を使うのがおっくうになってしまったBさん。
その様子をみるに見かねたお孫さんがBさんと一緒に店頭に来てくれました。
店頭でもう一度、装用の仕方、管理の仕方、電池の取り替え方法を説明し、Bさんが困っている時にはお孫さんが協力してくれることになりました。1ヶ月後、Bさんが一人で来店しました。耳にはしっかり補聴器が入っています。「孫が手伝ってくれて、ようやく最近一人で補聴器が着けられるようになりました。無くさないように所定の置き場も作ってくれたし、10日おきに電池の心配もしてくれるんですよ。」と嬉しそうなご様子でした。

このように、高齢になってから補聴器を着けるということは、覚えることもままならず、途中で諦めてしまうこともないとは言えません。こんな時に、ご家族が基本的な補聴器の使い方を理解しているということはとても心強いことです。最初は大変ですが、家でもしっかりサポートを受けながら反復練習していくうちに、習慣として身についていきます。

補聴器の購入にあたり、ご家族に「聞こえ」や「補聴器」について理解していただくことの大切さについて2つ挙げました。「聞こえにくいこと」はなかなか周囲に理解されず大変なこともありますが、身近なご家族が理解してくれるということは、ご本人にとっても大きな力になります。身近な方が補聴器を購入する際は、できるだけご家族も一緒に来店してくださることをおすすめいたします。

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