聞く、聞こえるとは
行動する力の源です
愛用者インタビュー
ゲスト : 外山(仮名) さま
補聴器を使い、日々を生き生きと豊かに暮らしている方がいます。今回は東京都世田谷区にお住まいの外山さまに、お話を伺いました。外山さまは今年72歳。7年前に補聴器を使いはじめたそうです。
「補聴器に対して、老人のための道具というイメージがない」と外山さま。電車のなかで、同乗者の楽し気なおしゃべりに耳を傾けたり、ふと聞こえる鳥の鳴き声や風の音に癒され、そして「人間は音が必要な生き物」と実感するそうです。「五感のすべてを使える状態にしておきたいですね」。
喫茶店での他愛もない おしゃべりに生返事
4~5人のお友だちと喫茶店でおしゃべり。楽しいはずの時間ですが、少しずつ楽しめない時間が増えていったと外山さま。 「周りがガヤガヤしていたり、反響しやすい建物だったりすると、お友だちの声が聞こえづらい。何度も聞き直すのも抵抗があるし、そのうち生返事することが増えていったんです」 聞こえないことに、耳が痛くなったり、かゆくなったりという症状はありません。つまり痛くもかゆくもないことが、ケアを後回しにしてしまう大きな要因ともいえます。ですが外山さまはすぐにヒヤリングストアの門を叩いたそうです。 「傾聴ボランティアに関心があって、月2回の勉強会と講習会に参加していたのですが、そうした先生方のお話や、何気ない情報もきちんと聞きたかったんです」 聞こえないことは自分にとって損だ――そう思ったと話します。また傾聴ボランティアとは、言葉のとおり、“聞くこと・聴くこと”で成り立ちます。外山さまはお年寄りの話を聞くことが多いそうですが、なかには言葉が明瞭でなかったり、大きな声で話せない方もいらっしゃいます。 「そうした方々の言葉を聞き洩らしたり、何度も聞き返すのは大変失礼。正しく聞えることは私の人生にとって欠かすことのできない要素です。ですから補聴器を使うことにためらいはありませんでした」
二子玉川店の舛川店長とも話が弾む。補聴器は定期的にメンテナンスをする必要があるが、外山さまは「面倒なんてとんでもない。舛川さんとのおしゃべりで、補聴器も私もリフレッシュできています」とにっこり。
補聴器のイメージが ガラリと変わりました。
愛用している補聴器は“あえて”見せるカスタムイヤホンのようなデザインが特徴です。装着感もよく、色をブラックにしたことから、服とのコーディネイトもしやすいそう。
2010年の来店当初、外山さまの症状は片耳に軽い難聴がある程度だったそうで、多くの人は「補聴器の必要性に気づかないレベル」だったと二子玉川店の舛川店長。ただ、その時点で補聴器の存在に気付いた点が素晴らしいとは話します。 「軽度であれば、補聴器に慣れるのも早いだけでなく、聞こえるレベルの調整もしやすいもの。ですのでご負担が少ないという利点があります」 一方、外山さまは補聴器の小ささやスタイリッシュなデザインに驚いたそう。 「補聴器のイメージがガラガラと崩れました(笑) デンマークのメーカーの斬新なデザインのものや、ドイツのメーカーの小さなタイプも試して、いまはシーメンス・クールを使っています」 舛川は「補聴器を使っている方のなかには、髪などで耳を隠そうとする方もいます。またピアスやイヤリングでのおしゃれも諦めてしまう。ですが外山さまは髪もショートですし、大振りのピアスをして、おしゃれを楽しんでいらっしゃる。私も影響を受けて、ピアスにしちゃいました」と話します。 「3~4か月に一度、メンテナンスのために来店していますが、舛川さんとお話しているとリフレッシュできて、元気になるんです。補聴器のおかげでいいお知り合いができました」と外山さまも嬉しそうです。
ボランティア活動に加えて 太極拳の師範としても活躍中
10年前、ご主人を亡くしたそうですが、そのときの喪失感を埋めてくれたのがペットのレトリーバーだったとか。 「散歩は朝夕1回ずつですから、引きこもってなんていられませんでした。あの子がいなかったら一日中家にいることになったでしょうね」 そんな愛犬も2年前に天国へ旅立ってしまいました。そんな外山さまがペットロスから早く立ち直れたのは、「聞こえたから」ときっぱり。 「聞こえることとはコミュニケーションが取れるということです。聞えるからこそ、誰かに会いたいとか、どこかに行きたいという希望が叶えられるもの。」 外山さまは60歳から始めた太極拳を極めて、現在は師範として活躍中。今春、シニア向けクラスの先生としてデビューを果たしたそうです。もちろん傾聴ボランティアも続けておられます。 「他人様の話を聞くことで得られるのは心のビタミンです。皆さんから栄養をいただいて、その栄養をどなたかに差し上げる。夫を亡くして後ずさりしてしまったこともありましたが、前向きに生きていれば道は開けるとわかりましたから、これからは前進あるのみですね(笑)」 補聴器の存在が前向きに生きる外山さまのパートナーになっているのです。